
薄毛治療薬として広く使用されているミノキシジル、フィナステリド、デュタステリドは、それぞれ異なるメカニズムで効果を発揮します。しかし、治療において考慮すべき副作用も存在します。この記事では、「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版」(日本皮膚科学会)を基に、これらの薬剤に関する主な副作用を詳しく解説し、使用時に注意すべきポイントを紹介します。
ミノキシジルの副作用
ミノキシジルは主に外用薬として使用され、頭皮の血行を促進することで毛髪の成長を助けます。しかし、一部の人には以下の副作用が見られることがあります。
1. 頭皮のかゆみや炎症
- ミノキシジルを塗布した部位にかゆみ、発赤、フケが発生することがあります。
- 一部の人はアレルギー反応を起こすこともあります。
2. 初期脱毛
- 使用開始後数週間で一時的に脱毛が進むことがあります。これは、新しい毛が生えるために古い毛が抜ける正常な反応とされています。
3. 低血圧やめまい
- ごくまれに、吸収されたミノキシジルが血圧を下げ、めまいやふらつきを引き起こすことがあります。
フィナステリドの副作用
フィナステリドは、DHT(ジヒドロテストステロン)の生成を抑制することで薄毛の進行を止めます。内服薬として使用されますが、以下のような副作用が報告されています。
1. 性機能障害
- 性欲減退、勃起不全、射精障害などが報告されています。
- これらの副作用は一部の人に永続する場合があります。
2. 乳房の変化
- 男性でも乳房が膨らむ(女性化乳房)ことがあります。
- 乳房の痛みやしこりを感じた場合は医師に相談が必要です。
3. 精神的な影響
- うつ症状や不安感が報告されています。
デュタステリドの副作用
デュタステリドもフィナステリドと同様にDHTの生成を抑制しますが、より強力に作用します。そのため、副作用のリスクも似ていますが、若干異なる点があります。
1. 性機能障害
- フィナステリドと同様に、性欲減退や勃起不全が報告されています。
- 一部では、デュタステリドの方が性機能障害のリスクが高いとされています。
2. 精液量の減少
- デュタステリド使用中に精液量の減少が見られることがあります。
3. 皮膚の異常
- じんましんや発疹が報告されることがあります。
4. 乳房の変化
- 女性化乳房や乳房の痛みが発生することがあります。
使用時の注意点
これらの薬剤は、「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版」においても、医師の指導のもとで適切に使用することが推奨されていますが、副作用のリスクを理解した上での使用が重要です。以下の徹底が望まれます。
医師の診断を受ける
- 自己判断で使用せず、医師に相談する
副作用が出た場合はすぐに相談する
- 異常を感じた場合は、すぐに使用を中止し、医師に相談する
長期使用のリスクを理解する
- 特にフィナステリドやデュタステリドは長期使用が前提となるため、定期的な医師の診察を受ける
まとめ
ミノキシジル、フィナステリド、デュタステリドは、薄毛治療において効果的な選択肢ですが、副作用を理解し、適切な対応を取ることが大切です。信頼できる医師と相談しながら、安全に治療を進めることを心がけましょう。
参考文献: 日本皮膚科学会「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版」